今回はチョコレートの口どけの秘密に迫ります。テンパリングとは何か?植物油脂、チョコレートの口どけの密接な関係と、おすすめ植物油脂不使用チョコレートをご紹介します。
目次
1. チョコレートの口どけの秘密とは?
みなさんはチョコレートの口どけと聞くと何を連想しますか?
口の中にチョコレートを入れると、トロリと舌で十分感じ取れるなめらかさ、広がるカカオの香り、、想像しただけで幸せな気分になりますよね。
美味しいチョコレートは百貨店などのお店、通販だけででなく、コンビニでも買える身近な存在。
でもどうせなら、「口どけの良いチョコレート」を選んで、自分へのご褒美やプチギフトに美味しいチョコレートを楽しみませんか?
今回はチョコレートの口どけの秘密をご紹介します。
2. ココアバターが生み出すチョコレートの口どけ
口どけが良いチョコレートの秘密は、カカオ豆に含まれるココアバターという物質にあります。
ココアバターとはカカオ豆に含まれている油脂で、カカオ豆をすり潰すとドロドロしたペーストになるのは、カカオ豆にはココアバターが約55%ほど含まれているからです。
※ごまをすり鉢ですりつぶすと練ごまペーストになるのも、ごまの成分には50%の油分が含まれているからです。
常温では固まっているココアバターですが、25℃くらいから急速に溶け始め、33℃付近では殆ど溶けきってしまうという性質を持っているのが特徴です。
わたしたち人間の口の中の温度は36℃前後です。このココアバターが持つ性質である、「25℃から“急速に”溶け出す性質」が、口に入れた瞬間にじんわりと溶け出す「口どけ」の良さを実現させているのです。
3. チョコレートのテンパリングって何?テンパリング・温度・チョコレートの結晶
では、すべてのチョコレートが「口どけが良いチョコレート」なのでしょうか?
答えはNo。「口どけが良いチョコレート」を作り出すには、職人技によるテンパリングという結晶を整える工程が必要になります。
チョコレートは溶ける前は個体、溶けたあとは液体になります。
チョコレートが個体として安定した状態を維持できているのは、チョコレートの分子同士が空間的に一定の距離を保って規則正しく並び「結晶化」しているからです。しかし水と違ってチョコレートが特殊なのは、その結晶が6種類あり、それぞれの結晶で溶ける温度(=融点)が異なる点です。
6種類の結晶は1型〜6型に分けられます。
それぞれの融点は
1型:17度
2型:23度
3型:25度
4型:28度
5型:33度
6型:36度です。
通常のチョコレートは、そのままだと1型〜6型の結晶が混在しています。
そのままだと、口に当たる部分によって溶ける温度が異なるため、口どけ感が悪くなってしまいます。
チョコレートの結晶のうち、一番安定していて、口どけ感が良くなる5型の結晶にすべて整えることで、口どけの良さを生み出すことが可能です。
テンパリングの仕組みはこうです。
まず、チョコレートを50℃程度まで温めて溶かします。それを25~26℃まで冷まします。
このときココアバターの中でつくられるのは、おもに4型の結晶(融点は約28℃)です。
融点の低い1型(約17℃)や2型(約23℃)は、ここでは生じません。
ただし3型は融点が25℃前後なので、少し出る可能性があります。5型もわずかに現れることがあるでしょう。
結晶は、複数のタイプがある程度は同居できるのです。
次に、チョコレートを再加熱して30~31℃まで温度を上げます。
こうすると、4型の結晶が融けて、その融液から5型が結晶化するのです。
ちなみにテンパリングは、食べる「固形のチョコレート」が発明されてから、かなり時間が経って生み出された職人技です。
特許や論文が存在するわけではないので、その手法がいつどこで確立されたのかはわかりません。
ただ、1930年代の半ば頃にはテンパリングの機械が存在したことはわかっています。
しかし、もともとチョコレートはココアとして飲むことが主流だったのですが、「食べるチョコレート」を発明したイギリスのジョセフ・フライが会社を設立したのは、1847年です。テンパリングの機械が確認できるまで約80年の時間が経っていますが、現在のような口どけと食感を持つ、美味しいチョコレートができあがるまでには、かなり長い年月がかかったのです。
>「チョコレートの歴史を解説。発祥、薬、媚薬、固形チョコレート誕生のきっかけとは?」も合わせてご覧ください
4. 植物油脂とチョコレートの口どけの関係性
「口どけが良いチョコレート」には、テンパリングという職人技の製法だけでなく、原材料も関わってきます。
それは植物油脂を使用しているかどうかです。
コンビニやスーパーで買えるチョコレートの中で、「触っても手に付かない」チョコレートを見たことがありますよね?
これは植物油脂をチョコレートに混ぜることで、チョコレートの融点を上げ、体温ですぐに溶けないようにしているのです。
触っても手につかないチョコレートは、利便性は高いですが、融点が上がるということは同時に口どけ感を悪くしてしまっています。
先程もご紹介したとおり、口どけの良さは、25℃から“急速に”溶け出すその性質にあります。私たち「ひとくち -HITOKUCHI-」チョコレートは、テンパリングによる職人技と、植物油脂不使用で、口どけの良い美味しい上質なチョコレートをお届けしています。